閑話休題:2(福野礼一郎)
クルマの話です。
バイクが一番の趣味で、趣味を仕事にしたくないと思ってクルマ業界の仕事に就いていた20代の頃。クルマの知識を得ようとして雑誌を読み込んでいました。その中で気になる記述が時々あります。その記事を追っていくとある一人の人物が記事を書いていることに気が付きます。その名前は「福野礼一郎」。
彼が書く記事はメーカーの提灯記事を書くことなく、真実をそのままに良いものはよい。ダメなものはダメとはっきり言う。それ故にメーカーからは疎まれ、連載している雑誌の連載もことごとく休載になってしまう。
それでも、本当の事を書いてくれる自動車評論家として傾倒しているファンはたくさんいる。自分もその一人。一台のクルマを見る時にどの点を見ればよいのか?なんでこのクルマはこういう出来になっているのか?時代背景やその時の会社の状況などトータルに考えて結論を紡ぎ出す。
自分がバイクやクルマを選ぶ時、この人の考えが影響している。最高速やサーキットでどうだったか?というより市街地や高速、普段使いの日常のスピードでの挙動はどうか?人間工学的にきちんと正しいか?などなど。
そんな福野礼一郎に会う機会がたまたま訪れた。「福野礼一郎のクルマ論評3」という新刊本のトーク&サイン会があるという。
初めて会った本人は思ったより小柄で、思ってたより歳をとっていた。そりゃそーだ、自分だってもう48歳。福野さんも歳をとらない訳がない。
内容は、今後エンジンも車体もモジュール化が進んでロクなクルマが出てこなくなるかも。実際同じメーカーの同じ車種でもグレードによって出来不出来の落差が激しくなってきている。実際乗ってみないとこれからの時代はわからない、との事。
まぁ、その他諸々今後の自動車メーカーの進む道はしっかり眼を見開いて見ていないとハズレを掴ませることになるな。バイクはどうだろう?そんな見方を昔からしていたから一時そのバイクの生まれた背景、そのバイクのスペック、そのメーカーの発売時の状況などを見ればだいたいどんなバイクだかわかった(実際乗ってみても最初に想像していたバイクと大差ないことが多かった)、という特技をもっていたつよTも一時バイクから離れてしまってその勘も薄れてしまった。
しかし、モトグッチを買った時に重視したのは「気筒数」「空冷」「最大トルクの発生回転」等々その辺は気にしてスペックを見ていた。その辺を押さえていたから求めていたバイクに限りなく近いバイクを買えたことになった。あまりバイクの記事で福野礼一郎的存在はいないのだが、そういう人物はいるのだろうか?(U-BIKE!の記事を書いていたテディ高橋さんは良かったけど)また、バイクとクルマと同じ状況ではないので、クルマのようにバイクが白物家電化するかもわからないし。
たとえ電動化してもモーター駆動のバイクになっても人間の身体を駆使する乗り物という一点では変わらないので「楽しさ」の次元は違ってもその時代時代の楽しさはあると思う。実際モトグッチV7Ⅲだってインジェクションだけど楽しいし。そんなこんなを考える今回のサイン会。バイクの未来予想図はどうなっているんだろうね?今後考えてみたい事柄。
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